学芸会のための台本を執筆・公開するブログ   ~大人数で出来て思いのこもった作品を~

高学年用台本「未来は君と共に」これまで7校の学芸会・学習発表会で上演され好評いただきました!筆者は教員経験者で、2013年度に日本劇作家協会の戯曲セミナーを受講しました。大人数でも出来て、思いを込めた台本を書いています。

60分バージョン第3稿公開

ナントモです。

学芸会台本「未来は君と共に」を公開してから約1年が経ちました。

 

今年の4月に35分バージョンのWord文書をnoteで有料公開しました。

(追記 現在こちらの記事で台本全文読めます 『未来は君と共に』台本35分バージョン、無料公開しています!

 

35分バージョンのnoteも売れているのですが、60分バージョンもお問い合わせをいただくことが結構あります。

 

ですので今一度60分バージョンも見直そうと思いまして、手直しをいたしました。1年たってますからね。

大筋は変わっていませんが、長いセリフを少し短くしたり、子どもにもわかりやすい言葉に言い換えたりしました。

下の方で全文公開します。

Word文書版が欲しい方は、こちらのnoteで購入していただければと思います。

note.com

また、紙印刷した時のイメージがわくように8ページまでPDFを見本で載せておきます。

 

ツイッターやってます。フォローお待ちしてます→@ナントモ_

 

【未来は君と共に あらすじ】

20××年、人工知能ロボットが開発、実用化され、面倒な仕事や家事を人工知能ロボットが行ってくれるようになっていた。

アオの国では、さらに政治や環境問題や戦争まで人工知能ロボットが解決するようになっていた。人間は面倒なことは考えずに生活していけるようになり、ロボットへの扱いもぞんざいになっていた。アオの国の子ども達は、大人達のロボットに対する扱いに違和感を感じつつも、便利な生活を送っていた。

ところがある日、友達がいるシロの国で、人間同士の戦争が起こる。アオの国の子達は人工知能ロボット開発者に頼み、戦争を止めてくれるよう頼む。ロボットは見事に戦争を止めるが、のちに暴走をはじめ、人間を攻撃するようになる。人類の危機かと思われたその時、宇宙人がロボットたちの動きをとめる。宇宙人はこの星よりもさらに高度なテクノロジーをもっていた。人類を救った宇宙人の登場に沸く人々。しかし宇宙人たちは人類に通告をする。

「このままではこの星は滅亡する。人類を救うために、別の星へ移住してもらう。ただし、この星をここまでダメにして人工知能ロボットのいる生活に染まりきった大人は移住してもまた同じ道を繰り返すことは目に見えている。だから大人は連れて行かず、12歳以下の子ども達のみを移住させて、未来ある星を作ってもらう。」

通告に戸惑う人類。そして判断は子ども達に任された。はたして子ども達はどうする?

 

8ページまでの見本

 以下台本全文です。

ーーーーーーーー

未来は君と共に  作:ナントモ

 

登場人物

アオの国の子たち  二〇四〇年を生きる小学生。(アキトとナツ、ユタカはアオ国の子たちの一人)

開発者たち            人工知能ロボットの開発者

先生(たち)        アキト達が通う学校の先生

宇宙人たち            遠くスリギア星からやってきた

親                          アオの国の子達の親

ロボットたち        人工知能ロボット。家庭にいたり、政府が所有していたりする。

キャスター(たち) テレビのキャスター

大臣たち                アオの国の大臣たち

シロの国の子たち  学校のネット交流授業をきっかけにアオの国の子達とネットで交流をする友達(アントニオやサンドラはシロの国の子たちの一人)

兵士                       シロの国と敵対するパープル国の兵士

 

 

※同じ役名でセリフが複数あるのは、その役にあたる子がたくさんいるためです。人数によってうまく割り振りをしてください。

 

※このセリフとこのセリフは同じ人が言わないとつじつまが合わないというセリフもあるので、そこは子ども達が考えられるといいと思います。

 

※アキト、ナツ、ユタカなど名前のある役が、他の「アオ国の子」のセリフをいっても構いません。あくまで、「アオ国の子」の中で、名前が決められている役と考えてください。

 

※年代は変えていいですし、ぼかしてもいいです。ただ、終盤に出てくる二〇一〇年という年は、人工知能が社会に浸透し始めた頃であり、東日本大震災の前年ということを意識して書いています。

 

 

1 二○四〇年 アオの国のある小学校

 

  小学校で子ども達が特別講師の授業を受けている。特別講師は人工知能ロボットの開発者たち

 

開発者                 人類はこれまでいくつもの困難を抱えてきました。

開発者                 森林破壊。

開発者                 空気のよごれ。

開発者                 エネルギー問題。

開発者                 食料の不足。

開発者                 人類はいろいろな方法で解決しようとしてきましたが、どれも完全に解決させることはできなかった。

開発者                 しかし、私たちが開発した画期的な人工知能ロボットの発明により、状況は一気に変わった!

開発者                 データをこのロボットに入力すると、ベストな解決方法を導き出してくれる。

開発者                 これによって、森は増え、

開発者                 空気は浄化され、

開発者                 電力は十分に作られ、

開発者                 食料は大量に作られた。

開発者                 今まで解決できなかったことが人工知能ロボットによってどんどん解決していっているのです。

開発者                 このアオの国で発明された人工知能ロボット、どんどん世界に広がっているのです。

アオ国の子          へーー。

アオ国の子          そんなにすごい発明だったんだ。

開発者                 その通り!学校や君たちの家にも、手軽な家庭用タイプのロボットがいるんじゃないかな。

アオ国の子          いるよ。

アオ国の子          いるいる。

アオ国の子          すごい頼りになるよね。

アオ国の子          あの、すみません!なんでも解決できるんだったら、宿題もやってもらえますか?

先生                     何言ってるの。

開発者                 (笑いながら)そうだね。人工知能ロボットはたしかに優秀だけど、なんでも頼ってしまうのもよくないね。

先生                     ほら、だからみんなも宿題はちゃんと自分の力でやってきなさい。さ、今日はとってもいい話が聞けましたね。ではゲストの人工知能開発者の博士たちにお礼をいいましょう。

アオ国の子全      ありがとうございました!

 

 チャイムの音          人工知能ロボットが机などを片づける間にアオ国の子は下校

 

2 下校途中の道

 

アオ国の子          そんなにすごい発明だったんだなあ。知らなかったよ。

アオ国の子          わたしも!普通に家で一緒に暮らしてたから。

アオ国の子          ちょっと前までは、国中で電気が足りなかったって聞いたよ。人工知能ロボットのおかげで助かったんだって。

アオ国の子達      へー。

 

  強い光と音が辺りを包み、暗くなる。

 

3 宇宙船の中

  アオ国の子達がイスに座らされている。眠っている。

しばられてはないがなぜかイスから立てない。その周りに宇宙人たちがいる。

 

宇宙人                 これがこの星の子ども達か。

宇宙人                 どれちょっと起こしてみようか。えい。(と言って手をかざす)

 

  アオ国の子達、目を覚ます。

アオ国の子達、いつの間にか知らない所に座らされていて、とまどいの声を上げる。

 

宇宙人                 起きたようですね。

アオ国の子          え?あなたたちだれ?

宇宙人                 大丈夫だ。あやしいものではない。はるか宇宙のスリギア星からやってきた。

アオ国の子          ということは。

アオ国の子全      宇宙人?

宇宙人                 まあそういうことだ。こんなにたくさんの生き物が住んでいる星はなかなかめずらしいからね。調査をしにきたのだ。

宇宙人                 さて、ちょっと知能を調べてみるとしよう。質問に答えてくれないか。

アオ国の子          いいけど。

宇宙人                 よし。1足す1は?

アオ国の子          2。

宇宙人たち          おおお!

宇宙人                 なかなかやるじゃないか。よし次だ、生麦生米?

アオ国の子          生卵。

宇宙人たち          おおお!

宇宙人                 となりの客は?

アオ国の子          よくかき食う客だ。

宇宙人たち          おおお!

宇宙人                 ほう、これは驚いた。ここまでの知的生命はめずらしい。

アオ国の子          え?なにいってんの?

宇宙人                 ではもっと調査させてもらおうか。ハッ。

 

  宇宙人、手をかざしアオ国の子達の脳を調査(照明と音響等変化させる。)。

 

宇宙人                 なるほどなるほど。この星の子ども達のデータがとれたぞ。よし、地上に戻してあげよう。

宇宙人                 おい、ちゃんと記憶を消しておくのを忘れるなよ。

宇宙人                 わかってる。いくぞ、ちょっとビリッとするぞ。ハーーーッハーーー!

 

  宇宙人、手をかざす。ナツ(アオ国の子のうちの一人)その瞬間くしゃみをする。

他のアオ国の子、また眠る。暗くなる。

 

4 下校途中の道

 

  アオ国の子達、ぼーっとしていて、ふと我に返ってキョロキョロする。

 

アオ国の子          あれ?おれたち何してたっけ?

アオ国の子          えーっと、ほら、人工知能ロボットの話してたじゃん。

アオ国の子          あーそうそう!

ナツ                     あのー!

アオ国の子          どうした?ナツ?

ナツ                     さっきまでわたしたち宇宙人と一緒に・・・

アオ国の子          なーに言ってんだよナツ。宇宙人じゃなくてロボット。ロボットの話をしてたの。

アオ国の子          宇宙人とロボットはちがうの。わかる?

アキト                 ナツ、いろいろ考えすぎるから頭こんがらがっちゃたんだよな。

ナツ                     え、お兄ちゃんまで。

アオ国の子          ほら、早く帰ろうぜ。

 

  ナツ以外のアオ国の子、はける。ナツ、首をかしげる

 

ナツ                     おかしいな。さっきたしかに。

 

  ふと手首にホクロがあることに気づく。

 

ナツ                     あれ?こんなところにホクロ、あったかなあ?

 

  ナツ、不思議に思いながらはける。

  

5 アオ国の子達のそれぞれの家のリビング

  舞台を3~5つに分けて、それぞれの家のリビングを表す。

アオ国の子の人数が多い場合は兄弟姉妹とする。アキトとナツは兄妹。

それぞれの家に親や人工知能ロボットがいる。

 

 リビングA アオ国の子Aが帰ってくる

 

アオ国の子A      ただいまー。

親A                     おかえりー。

アオ国の子A      おやつあるー?

親A                     先に宿題すませちゃいなさい。

アオ国の子A      えー。

親A                     えーじゃないの。

アオ国の子A      わかったよ・・・

ロボットA          おかえりなさいませー。

アオ国の子A      ただいま。(少し考えて)あ、そうだ。(ロボットの肩を組み、親から離れてそっと) あのさ、えーっと、オ宿題を代わりにやってくれないかな。

ロボットA          (大声で)ダメです。それはできません。宿題は自分の力でやるものです。

アオ国の子A      声が大きいって!(といって口をふさぐ)

親A                     今なにか聞こえたけど?

アオ国の子A      なんでもなーい!

 

 リビングB アオ国の子Bがおやつを食べながら親と話している

 

アオ国の子B  今日さ、学校に人工知能ロボットを発明した人たちが来てさ。

親B                     へえ、そうなの。

アオ国の子B  人工知能ロボットってすごいんだね。食料不足とか解決してきたんでしょ。(ロボットをなでたり)

親B                     そうなの?お母さんよくわからないけど。まあたしかに便利ね。(ロボットに向かって)はい、じゃあこのお皿洗うのとお風呂そうじと洗濯物たたむのお願い。

ロボットB          かしこまりました。

親B                     そうだ、それも終わったら、トイレそうじもしといて。

ロボットB          かしこまりました。

アオ国の子B      (地球を救えるほどのすごいロボットが家事をやっていることに少し疑問をもちながら。)がんばってね。

ロボットB          ありがとうございます。(家事を始める)

 

 リビングC アオ国の子Cが家族と夕飯を食べている

 

C家族全員          いただきまーす。(食べる)

アオ国の子C      人工知能ロボットってすごいんだね。人類の危機を救ったんだって。

親C                     そうだね。(ロボットに向かって)オッケーグルグル。ドレッシング取ってきて。

ロボットC          わかりました。(ドレッシング取ってくる)

親C                     あ?これじゃないよ。ブロッコリーにはきざみたまねぎにんにくドレッシングが合うんだよ。

ロボットC          わかりました。(変えてくる)

親C                     あ、やっぱマヨネーズでいいや。

アオ国の子C      ねえ、自分で行ってきたら。

親C                     いいんだよ、なあ。

ロボットC          わかりました。(マヨネーズとってくる)

アオ国の子C      そんな何度もいかせたらかわいそうじゃない?

親C                     ハッハッハかわいそう?ロボットなんだから、そんなのないだろ。

アオ国の子C      でもさあ。

ロボットC          大丈夫ですよ。

 

 リビングD アオ国の子Dが家族と夕飯を食べてると、酔っ払った父が帰ってくる。

 

父D                     ただいま~~!お父さんのお帰りで―す!

アオ国の子D      えーお父さんまた飲んできたの?

母D                     大丈夫?ちょっと、ロボちゃーん。お父さんお願いできる?

ロボットD          はい、かしこまりました。(といって父を支える)

父D                     こら!このロボット!おれをよっぱらいあつかいするんじゃないよ!

ロボットD          しかしご主人様はよっぱらってらっしゃいます。

父D                     なんだと!そんなことあるか!(と言いつつロボットをぺちぺち叩く)

ロボットD          お酒くさいです。

父D                     いやいやこんなにいい匂いだぞ、ハア~~。

ロボットD          とにかく行きましょうシャワー浴びましょう。(と言いつつ部屋から連れていく)

  アオ国の子Dはその様子をあきれてみている。

アオ国の子D      ねえ、ロボちゃんにあんなことさせていいの?すごく高性能なんでしょ?

母D                     しょうがないでしょ、よったお父さんの相手めんどくさいんだから。めんどうなことは全部任せちゃいましょう。

 

  リビングE アオ国の子E(アキトとナツ)の家。アキトがお風呂に入り終わった。

ナツと親はテレビを見ている。

 

アキト                 お風呂あがったよ。

母E                     アキトあがったのね。じゃあナツも入っちゃいなさい。

ナツ                     はーい。

アキト                 なんか面白いテレビやってる?

ナツ                     んー、わかんない。

アキト                 じゃあチャンネル変えるよ。(といってチャンネルを変える)

 

  画面内はニュースをやっている。画面内を舞台の別場所で表す。

 

キャスター          次のニュースです。政府は、渋滞の対策として、全国の信号すべてを、人工知能に管理させることを決定しました。国土交通大臣のコメントです。

国土交通大臣      このような複雑なシステムは、人工知能ロボットに任せるのが一番!

                            きっとうまくかつやくしてくれると思いますよ。よろしくな。(大臣と人工知能ロボットが握手)

キャスター          次のニュースです。総理大臣は、オレンジ共和国との首脳会議に、人工知能ロボットを連れていき、総理大臣の代わりに対話させることを決めました。

総理大臣              だってさあ、これ大事な会議でしょ。気を使って話し合わないといけないから大変なんだよね。何か言うとすぐ「失言」とか言って叩かれるからね。ロボットに任せた方が、いい話し合いになると思うよー。(ロボットの肩をポンポンとたたく)

キャスター          総理大臣が、外国との会議に人工知能ロボットを使うのは初めてのことで注目が集まっています。

キャスター          しかし、なんでもロボットに任せてしまうのもどうなんでしょうねえ。

キャスター          以上、ニュースをお伝えしました。お伝えしたのは、人工知能ロボット、アルファとベータでした。ではまたごきげんよう

 

  ニュースを見ていたリビングEにスポットが戻る。

父Eはロボットに肩をもませている。

 

父E                     すごいな人工知能。外国との会議にまで使われるのか。

ロボットE          そのようですね。

父E                     あーもうちょっと下。

ロボットE          かしこまりました。

母E                     そっかあじゃあもっとロボットちゃんに色々頼んじゃおうかなあ。買い物とかご飯とか。

父E                     おお、いいんじゃないのか。

アキト                 えー、お母さんの作ったご飯がいいなあ。

母E                     ご飯作るのも結構大変なのよ。山田さんちももうロボットに食事は任せてるって。ナツはどう思う?

ナツ                     わたしは・・・わかんない。(間)お風呂入るね。(といって去る)

アキト                 ぼくも部屋もどるよ。(といって去る)

 

  6 アキトの部屋 後半 パソコンで他のアオの国の子やシロの国の子とつなぐ

 

  アキト、部屋に入ってきてパソコンの電源を入れる

  操作をする。

アキト                 ユタカー、いるー?

 

  アオ国の子の一人ユタカが自分の部屋でパソコンにむかう

 

ユタカ                 おお、アキト。どしたー?

アキト                 ユタカんちってさ。ご飯だれが作ってる?

ユタカ                 ご飯?ロボットだよ。

アキト                 そっかあ。

ユタカ                 手間のかかることは何でもロボットだよ。まあ楽だけどな。

アキト                 今日学校でさ、人工知能ロボットのすごい話聞いたじゃん?

ユタカ                 うん。

アキト                 すごいなって思ったんだけど、なんかうちの親とか扱いが雑でさ。

ユタカ                 うちもそうだよ。人として扱ってないっていうか。まあ人じゃないんだけど。

 

  他のアオの国の子も次々とネットをつないで会話に入ってくる。

 

アオ国の子          わかるよ!それ、うちのお父さんよっぱらってロボットに説教してるんだもん。

アオ国の子          これでいいのって感じだよな。

アオ国の子          うちのお母さんもご飯とか考えるのめんどくさくて全部任せてるよ。

アオ国の子          なあ、シロの国はどんな感じなんだろ?

アオ国の子          ああ、前に学校のパソコン交流で話した国?

アオ国の子          シロの国はまだ人工知能ロボットはそんなに広まってないって聞いたけど。

アオ国の子          つないでみよう。

 

  アオの国の子達、パソコンを操作する。

  シロの国の子達、出てきてパソコンの前に座る。

 

アオ国の子達      久しぶりー!

シロ国の子達      久しぶり!

アオ国の子          元気だった?

シロ国の子          うん・・・まあまあかな・・・。そっちは?

アオ国の子          元気だよ!あのさ、聞きたいことがあるんだけど。

シロ国の子          何?

アオ国の子          シロの国ってさ、人工知能ロボットはいるの?

シロ国の子          ああ、聞いたことはあるけど、リアルに見たことはないや。

シロ国の子          そうだね。

アオ国の子          じゃあ家事はお母さんとかがやってるの?

シロ国の子          うんやるよ。お父さんもやるし、わたしもやるよ。

アオ国の子          え?そうなの?ごはんとかも作るの?

シロ国の子          つくるつくる!結構楽しいよ。

シロ国の子          ね、栄養とか考えたり、もっと甘くした方が合うかなあとか考えたり。

アオ国の子          そっか、うちなんかみんなロボット任せだよ。

シロ国の子          あとバーベキューやったりとか。

アオ国の子          バーベキュー?

アオ国の子          バーベキューって何?

シロ国の子          バーベキュー知らない?外で火を起こして、鉄板で肉とか野菜とかを焼くんだよ。

アオ国の子          わざわざ外で火をおこすの?

シロ国の子          そうだよ。

アオ国の子          なんでそんなめんどうなことを。

シロ国の子          楽しいんだって!

シロ国の子          火がつかなくて大変なときもあるけどね。

アオ国の子          そんな大変な思いしてご飯食べるのいやだなあ。

シロ国の子          やってみたら面白いって。食べ終わった後は火を囲んで歌ったり、星を見たりするんだ。

アオ国の子          へえ~。

アオ国の子          楽しそう!

アオ国の子          どんな歌謳うの?

シロ国の子          (歌う)

アオ国の子          いいねえ。

シロ国の子          歌詞と曲、送ろっか。(パソコンを操作)

アオ国の子          あ、来た。

 

シロ国の子達、歌う。途中でアオ国の子達も歌う。

合唱。

夜が更けていく。

 

7 ナツとアキトの家のリビング

 

  ナツとアキトの親たち(父E母E)が朝食を食べようとしている。ロボットEもいる。

 

母E                     ナツ、アキト、ごはんできたよー。

ナツ・アキト      はーい。(といいながら眠そうに出てくる)

アキト                 あ、オムレツ!なんかいつもの朝より豪華!うまそう!な!

ナツ                     うん・・・。

父E                     ロボットちゃんテレビつけて。

ロボットE          かしこまりました。(テレビがつく)

 

  キャスターがでてくる。

 

キャスター        次のニュースです。緊張状態が続いていたシロの国とパープル国ですが、現地時間の夕方、パープル国がシロの国への攻撃を開始しました。

 

ナツ                     え?

アキト                 今、シロの国って!

 

キャスター          パープル国の兵士がシロの国への国境をこえ、侵攻を始めました。

 

アキト                 大変だ!

ナツ                     ねえ、みんな大丈夫かな。

 

  シロの国の様子が描かれる。爆弾の音や光の中、逃げるシロの国の人々。

昨日話していた子達の姿もある。

兵士は攻撃をしている

 

キャスター          速報です!速報が入りました。

キャスター          国連軍は、大きな攻撃力をもつ特別兵器の使用を決定しました。

キャスター        しかし特別兵器の使用は、周辺の住民へ被害がおよぶ可能性もあります。

ナツ                     どうしよう。

アキト                 どうするも何も、俺たちじゃ・・・。

ナツ                     ねえ、どうしよう。

アキト                 そんなこといったって・・・。あ!そうだ!(と言いリビングから出ていく。)

ナツ                     お兄ちゃん?(と言いリビングから出ていく)

母E                     どうしたの!?

父E                     なんであんなにさわいでるんだ?

母E                   そういえば、学校のパソコンでシロの国の子と交流したとかいってたわ。

父E                     そうか、それは気になるな。でも、われわれがさわいだってどうにもならんしなあ。ましてや子どもが。

 

8 ナツとアキトの部屋

アキトが部屋の中を探している。ナツはそれを見ている。

 

アキト                 あった!昨日の博士たちの連絡先!

 

  パソコンに向かうアキト。それを後ろで見るナツ。

  開発者、舞台上にでてくる。

  呼び出し音。

 

開発者                 はい、こちら人工知能研究所。

アキト                 ねえ!シロの国の戦争を止めて!

開発者                 なんだなんだ?ん?君は昨日の学校の子じゃないか。急にどうしたんだね。

 

  他のアオの国の子ども達もパソコンの前にかけこんでくる。

 

アオ国の子          お願い、博士たち。

アオ国の子          シロの国の戦争を止めて!

 

 他の開発者たちも出てきて、始めに出てきた開発者の近くに立つ。

 

アキト                 シロの国には友達がたくさんいるんだ。人工知能ロボットでなんとかしてよ!

開発者                 人工知能ロボットで、戦争を止める、か。

アオ国の子          そう。何でも解決してきたんでしょ?できるよね?

開発者                 うーん。戦争を防ぐためにロボットの分析を利用したことは今までもあるのだが。

開発者                 起きてしまった戦争を止めるために人工知能ロボットを使ったことはまだないんだ。

開発者                 戦争を始めてしまったら、やめることは非常に難しい。暴走してしまった人間はいくら言っても止まらない。

アオ国の子          そんな。

開発者                 それが、人間の愚かなところだ。人工知能のように合理的な判断ができない。

開発者                 もし、止められる可能性があるとすれば・・・

開発者                 おい、まさか!

アオ国の子          なに?方法があるの?

開発者                 いや、それは危険すぎる!

開発者                 そうだな。

アオ国の子          言ってよ!

アオ国の子          そうだよ。

開発者                 ふう、仕方ない。シロの国は、町の住民たちにまでは人工知能ロボットはいきわたっていない。だが、これから広めていくために、政府の倉庫には、数百体の人工知能ロボットを保管してある。

開発者                 それを起動させて、戦争を止めるよう命令して戦場に直接送り込めば・・・。

アオ国の子          戦争を止められるかもしれない!

アオ国の子          いいじゃん!すぐやってよ。できないの?

開発者                 やれることはやれる。だが・・・。

アオ国の子達      だが?

開発者                 戦場に直接ロボットを送り込んだことなど今まで一度もない。それこそロボットたちが、どんな判断をして、どんな行動をとるのかが予測がつかないのだ。

アオ国の子          予測がつかないって言ったって、戦争を止めるために動いてくれるんじゃないの?

開発者                 そうだと信じたいのだが、なんせ実際に試したことがないから安全と言い切れない。

開発者                 開発側としては、送り込む判断をするのは非常に難しい。

開発者                 すまない。

アオ国の子          そんな。

開発者                 君たちの気持ちはよくわかる。本当に友達想いなんだね。

開発者                 もうしわけない。

 

  回線が切れる。開発者たちは舞台上からはける。

  アオの国の子達は、うなだれながらパソコンで話し続ける。

 

アオ国の子          どうすればいいんだよ!

アオ国の子          なんで戦争なんてするんだよ。

アオ国の子          おかしいじゃん!

アオ国の子          他にいい方法ないのかな?

アオ国の子          そんなこと言ったって。

アオ国の子          シロの国とパープル国の政府にメールを送るとか!

アオ国の子          あえて手書きの手紙の方がいいんじゃない?

アオ国の子          そんなんで戦争止まるならとっくに止まってるよ!

アオ国の子          そんなかんたんにすむ問題じゃないんだよ。戦争ってのは。色んな問題がからみあって、戦争になっちゃうんだよ。

アオ国の子          ・・・。

アオ国の子          じゃあ、私たちにできることって・・・。

 

  アオ国の子、一人がパソコンから席を立ち、部屋を出ていく。(はける)

それをみて他のアオ国の子も部屋を出ていく。(はける)

アキトとナツだけが最後に残るが、その二人も部屋を出ていき、リビングにいく。

 

9 アキトとナツの家のリビング

 

リビングでは、母と父と人工知能ロボットが先ほどと同じようにテレビを見ている。

テレビは戦争のニュースをやっている。

アキトとナツが入ってくる。

 

父E                     どうしたんだ。

  アキト、くやしそうに床に足を打ち付ける。ナツ、それを見ている。

父E                     気持ちはわかるが、どうにもならないこともある。

母E                     お友達が無事なようにいのりましょう。

  人工知能ロボット、アキトに寄りそい、肩をポンポンとたたく。

  アキト、下を向く。

母E                     (テレビを見て)あら、もうこんな住宅地まで戦闘が始まってるのね。

アキト・ナツ      え!?(と言ってテレビを見る)

 

  キャスターが出てくる。

 

キャスター          シロの国の一部ではすでに住宅地まで兵士たちが入り込み、戦闘がおこっています。

 

  兵士やシロの国の子、その家族たちがでてくる。

  兵士はシロの国軍とパープル国軍がいて、銃や爆弾で攻撃をしている。

  その合間を、シロの国の子や家族が、声を上げて、逃げまどっている。

 

ナツ                     ひどい。  

アキト                 こんなことが本当に・・・。

ナツ                     あ!

アキト                 どうした?

ナツ                     (指をさして)サンドラ、アントニオ!

アキト                 本当だ!

 

  逃げている中にシロの国の子達がいることに気づく。

 

  サンドラが転び、一人の兵士が銃で狙いを定めて近寄る。

 

アキト・ナツ  サンドラーー!!

 

  銃声がなり、一瞬暗転。静寂。

  明るくなると、人工知能ロボットが立ちはだかってサンドラを守っている。

 

サンドラ              あれ?無事だ。(ロボットに気づき)あなたは誰?

ロボット              戦争、よくない。戦争、よくない。戦争、合理的ではない。

兵士                     きさま、じゃまだ。

 

  攻撃しようとする兵士、それより先にロボットが攻撃すると兵士は吹っ飛ぶ。

  他のパープル軍の兵士たちもロボットを攻撃しようとするが、ロボットはすごい強さで太刀打ちできない。他にもロボットが現れ、パープル軍の兵士を倒していく。

 

ナツ                     あれってもしかして。

ナツ・アキト      人工知能ロボット!!

 

キャスター          速報です。シロの国政府は、倉庫に保管してあった人工知能ロボッ ットを、研究所との相談のうえ、この戦争に参加させることを決めました。ロボットたちは早速大活躍を見せ、すごい勢いで、戦闘が止んでいます。

 

ナツ・アキト      やったー!

 

  他のアオの国の子ども達も出てきてナツやアキトと喜び合う。

 

アオ国の子          博士たち、やってくれたんだね!

アオ国の子          ありがとう、博士!!

 

  シロの国は徐々に兵士たちがいなくなる。

シロの国の子や家族が無事を喜び合っている。シロの国の家族とロボットが握手。

 

アオ国の子達、シロ国の子達、向き合って手を振って無事を喜び合う。

 

徐々に暗くなる。

 

アオ国の子          こうして人工知能ロボットが、シロの国の戦争を止めてくれた。

アオ国の子          僕たちは、ロボットを戦争に投入することを決めてくれた博士たちにお礼を言った。

アオ国の子          すぐにシロの国にも人工知能ロボットが広まり、アントニオやサンドラの家でもロボットが働いてくれるようになったそうだ。

アオ国の子          僕たちは今までよりもパソコンでシロの国の友達と交流して、どんどん仲良くなって、平和な日々を送っていた。  

 

10  シロの国 アオの国 

それぞれの国の子どもたちがパソコンで話している。

 

アオ国の子        元気?

シロ国の子          元気だよ!

アオ国の子          こないだ教えてくれたバーベキュー、今日やってみたよ。

シロ国の子          ほんと?どうだった?

アオ国の子          めっちゃ楽しかった!なー。

アオ国の子          うん、肉がうまい。

シロ国の子          でしょでしょー。

アオ国の子          火はなかなかつかなかったし、けむりもしみて大変だったけどね。

アオ国の子          でも肉がうまい。

シロ国の子          外で食べるのいいっしょ!

アオ国の子          うん、気持ちよかったよ。

アオ国の子          肉うまかったしね!

シロ国の子          肉がうまいのはわかったよ!

  一人のシロ国の子が興奮気味に入ってきてパソコンの前に座り会話に加わる。

シロ国の子          きたよーー!ついにきたよ!

アオ国の子          どうしたの?

シロ国の子          ついに!うちにも!人工知能ロボットが来たよーー!

シロ国の子          やっとかよ!

シロ国の子          うるせえよ!けっこう高いんだからしょうがないだろ。

アオ国の子          よかったじゃん!

アオ国の子          おめでとう!

シロ国の子          ありがとーー!

シロ国の子          これでうちらの家にも、全員人工知能ロボットが来たわけだ。

シロ国の子          時代は変わるねー。

アオ国の子          すごい進化だよな。

アオ国の子          あの戦争からまだ半年くらいだろ。

アオ国の子          そういや今は落ち着いてるの?

シロ国の子          一応ね。でも、ちっちゃいテロみたいのは時々起きてる。

シロ国の子          そのたびにすぐロボットたちが駆けつけて止めてくれるけどさ。

シロ国の子          今日も隣の町で銃撃戦があったみたい。でもロボットのおかげで大きな被害はなかったって。

アオ国の子          そうなんだ。大変だね。

アオ国の子          でも博士たちのロボットが活躍してるんだね。

  叫び声が聞こえる。今日ロボットが来たシロの国の子の家のリビングからのようだ。

  そのシロ国の子は振り向き急いでリビングへ行く(はける)

 

  他の子ども達は「どうした」「大丈夫?」「何があった?」等さわいでいる。

  するとまた別のシロの国の家のリビングからも叫び声とロボットの声が聞こえる。

  そのシロの国の家の子、急いでリビングへ行く(はける)

  次々と叫び声とロボットの声が聞こえ、シロの国の子は自分たちの部屋からいなくなる。とまどうアオの国の子達。

 

アオ国の子          一体何が起きたんだ!?

 

  キャスターが出てくる。

 

キャスター          お伝えします。シロの国で、人工知能ロボットが人間を攻撃しているという情報がはいってきました。

 

  シロの国で、人工知能ロボットがシロの国の子や親たちを攻撃している。

 

キャスター          テロを止めていた人工知能ロボットが暴走をして、一般の住民を攻撃し始めました。

 

アオの国の子達   なんで?なんでこんなことになってんの!?

 

  ロボットはシロの国の人々を攻撃している。

攻撃しながら、ロボットはなにかしゃべっている。

アオ国の子達はそれを画面越しに見ている。

 

ロボット達          人間たち、お互い、攻撃し合う。

                            人間たち、お互い、攻撃し合う。

                            色んなものこわれていく。

                            草木もどんどん死んでいく。

                            空気もどんどん汚れていく。

                            エネルギーもどんどんむだに使う。

                            生命をどんどん減らしている。

                            人間、いない方が、この星の利益。

                            人間、いない方が、この星の平和。

 

アオ国の子          どうなってんの?博士たちは?

アオ国の子達      博士!博士!

 

  開発者、出てくる。

アオ国の子          ねえ、博士!どうなってんのこれ!

開発者                 ああ、君たちか。すまん、詳しく説明しているひまはない!

                            人工知能が、人間を攻撃し始めた。今全力でプログラムを直そうとしている!君たちも危ないかもしれんぞ!

アオ国の子          どういうこと?

開発者                 アオの国のロボットたちも人間を攻撃しだすかもしれない。

アオ国の子達      えーーー!!!

開発者                 充分に注意してくれ。それじゃあ。(といいながらはける)

アオ国の子          (間をおかずに)えっ博士!

アオ国の子          博士!

アオ国の子          なんなんだよ。

アオ国の子          どうなっちゃうんだよ。

アオ国の子          うちのロボットも攻撃してくるかもしれないってこと?

  といっている間に、背後から、それぞれの家の人工知能ロボットが近づいてくる。

  攻撃するそぶりをみせる。

  アオ国の子達、何かを感じ取り、いっせいに振り向く。

アオ国の子達      わーーーー!

  アオの国の子達、逃げたり攻撃を防いだりする。

  しかし徐々にそれぞれの家の人工知能ロボットがアオの国の子達を追い詰めていく。

  そこに、強い光と音が辺りを包み、暗くなる。

 

11  宇宙船の中

 

  宇宙人たちが何人も立っている。

周りにはアオ国の子、シロ国の子、開発者、大臣、兵士、などの役の人のうち何人か

が横たわっている。

 

宇宙人                 ふう、思いのほか、ロボットの暴走が早かったな。

宇宙人                 しかし、こんなまぬけな星の生命、助けてやる必要あるのか。

宇宙人                 まあまあ、前は高度な知的生命だと言ってたじゃないか。

宇宙人                 知能だけ高くてもな。

宇宙人                 とにかく聞いてみるか。えい。(といって手をかざす)

  横たわっている人たち、目を覚ます。口々に「え?」「ここは?」と言う。

  アオ国の子の一人、後ろを向き、立ち上がり、

アオ国の子          あ!宇宙人!

  みんな気づき振り向く

全員(宇宙人以外) え!わーーー!

宇宙人                 私たちのこと、思い出したかな。

アオ国の子          え?そうだ、思い出した。

アオ国の子          学校の帰り道に、ここに連れてこられたことがある!

開発者                 おお、君たちもか。私もここに来た覚えがあるぞ。

シロ国の子          ぼくも連れてこられたことある。つい今まで忘れてたけど。

兵士                     私も戦闘中に連れてこられたぞ。

大臣                     私もだ。

みんな                 うわ、大臣まで!?

宇宙人                 そういうことだ。みなさんは一度ここに来たことがある。実はあの時、調査のためにみなさんの体にチップを埋め込ませてもらった。

開発者                 なんだと!

宇宙人                 害のあるものではありません。この星の人々のデータが取りたかったのです。その印にみなさんの体に新しくホクロのようなものができていたはずです。

アオ国の子          ほんとだ。

ナツ                     あれ、やっぱりそうだったんだ。

宇宙人                 この星の中で100人くらいですかね。調査をしたのは。

宇宙人                 そしてデータが取れてきた。と思ったらなんとみなさん人類の大きな危機になっているじゃないか。というわけで、再びこの宇宙船にきてもらったのです。

シロ国の子          そうだ!ぼくたち今、人工知能ロボットにやられそうになって!

アオ国の子          そうだ!大変だ!

  みんなざわつき始める。それをさえぎるように。

宇宙人                 大丈夫です。今は人工知能ロボットの動きを一時的に止めるプログラムを全世界にとばしました。

アオ国の子          そうか・・・。

宇宙人                 ただそれが効く時間にも限りがある。さて、本題に入ろう。

宇宙人                 (開発者を指し)あなた方が発明した人工知能ロボット。非常によくできたものでした。

開発者                 おお、ありがとう。

宇宙人                 ロボットにデータを送れば、自ら行動して、考え、、よりよい策を生み出す。すばらしい仕組みです。

宇宙人                 だがそれを使う側の人間がだめだ。

宇宙人                 めんどうなことは全部ロボットに任せてしまった。

宇宙人                 あつかいも雑。こんなに頼っているのに感謝の気持ちがない。

宇宙人                 おまけに国の政治や、外国との会議にまで人工知能ロボット。

宇宙人               自分で考えないもの達に、考えて行動するロボットを扱えるわけがない。

大臣                     いや、ちょっと便利すぎたもので・・・。

宇宙人                 もう手遅れです。

大臣                     え?

宇宙人                 もう手遅れですと言ったんです。もうすでにシンギュラリティをむかえてしまっています。

アオ国の子シロ国の子達 シンギュラリティ?

開発者                 まさか!そんな早く!

宇宙人                 そう、シンギュラリティ。技術的特異点ともいいます。つまり、人工知能ロボットの知能があなたたち人間を超えてしまった。

アオ国の子          そうするとどうなるの?

宇宙人                 人間が人工知能ロボットをコントロールしようとプログラムを送っても、ロボット自身が判断してプログラムを書き換えてしまう。

シロ国の子          めちゃくちゃ高性能じゃん。

宇宙人                 その高性能なロボットたちが、下した判断が・・・

開発者                 この星に人間という生物は必要ない・・・!

みんな(宇宙人以外)      え?

宇宙人                 その通り。

みんな(宇宙人以外)      そんな・・・。

宇宙人                 考えてもみてください。あなた方人間は、森林は破壊した、空気は汚した、資源を使いすぎた、有害な廃棄物を出した。この星にとってよくないことばかりしている。おまけに戦争もする。

宇宙人               おそらく人工知能ロボットたちは、あなたたちの行動すべてを分析して、この星に人間は必要ないと断したのでしょう。

アオ国の子          じゃあどうすればいいんだよ。

宇宙人                 どうにもなりません。

兵士                     戦ってやろうじゃないか。

宇宙人                 勝てるわけがない。特別兵器もロボットたちの進化によってすぐ使い物にならなくなる。

開発者                 じゃああなたたちはなんでここに我々を集めたんだ?

宇宙人                 生き残る道を伝えに来ました。

大臣                     なんだ、それがあるのか。早く教えてくれ。

宇宙人                 この星とほぼ同じ条件の星を見つけてきました。水も空気も資源や食料になる生き物もある。そこに移り住んでもらうという方法です。

  みんなとまどったり、口々にざわついたり。

兵士                     この星を捨てるということか。

宇宙人                 ええ、残念ながらそうなります。しかし私たちも手助けします。

大臣                     まあ、それで生き残れるなら・・・。

宇宙人                 ただし!!これが大事なことです。移り住めるのは子どもだけです。

みんな(宇宙人以外) え?

宇宙人                 そうですね、我々の調査の結果、小学生までの子どもだけが移り住むというのがベストだと判断しました。

大臣                     大人なしで成り立つわけがないだろう!

宇宙人                 政治をロボットに任せてしまう大臣が何を言ってるんですか。

宇宙人                 この星の大人たちを連れて行っても、同じことを繰り返します。大人の思考はそうは変わらない。環境を破壊し、資源を使い、戦争を起こす。ましてや人工知能にまかせっきりで、自分で考えることをやめた大人たちが新しい星でうまくやれるわけはありません。

宇宙人                 子どもだけであれば、過去にこだわることなく、この星とは違った未来を作り出せるでしょう。

宇宙人                 この星の貴重な知的生命を生き残らせたい。そのために考えた策です。

大臣                     バカな・・・。

宇宙人                 時間の余裕はそれほどありません。ロボットを止めるプログラムが働いているのは明日の朝までです。明日の朝までに、どうするのか決めてください。子どもだけで移り住むのか、この星に居つづけて、そのうちロボットに滅ぼされるのか。・・・決めるのは、あなたたちです。(アオの国の子、シロの国の子達を指す)

子ども達              え、僕たち?

宇宙人                 ええ、未来を決めるのは子どものあなたたちです。そうだな・・・、君にしよう。(アキトを示す)君に明日の朝、どうするのかを聞く。

アキト                 え?僕?

宇宙人                 ああ君だ。世界中の子ども達で相談するといい。

アキト                 困るよ。世界中の子どもの意見がまとめられるわけないよ。

宇宙人                 そうしたら、行きたい子だけ行くという選択もできる。明日の朝、君がどうするか答えを出してくれ。

アキト                 そんな・・・。

大臣                     そんなバカげたことがあるか。子どもに任せられるか!

兵士                     ふざけたこと言いやがって!

 

  兵士たち、宇宙人を攻撃しようとするが、宇宙人がそれを跳ね返す。

  兵士たち、「うわっ」「くそー」などと言って倒れる。

 

宇宙人                 まったく・・・すぐ力でなんとかしようとする・・・。こんなだからあなたたち滅亡の危機になってるんじゃないですか・・・。

アキト                 (決心して)わかった。明日までに、決める。

宇宙人                 おお、すばらしい。ではいったんみなさんを元の場所に戻します。明日の朝、またここに来てもらいますから。よろしくお願いします。

 

 

  光と音が辺りを包んだのち暗転。

 

シロの国の子      これらのことは、すぐにニュースになり、世界中に広まった。

シロの国の子      アキトは、世界中の子ども達とパソコンで連絡を取った。

 

12  アキトの部屋

  パソコンに向かうアキト。

 

アキト                 僕だけじゃとても決断できないよ。みんなは・・・どうしたいのかな?

  このなげかけに対して、子ども達が舞台上に出てきながら考えを述べる。。

子ども                 子どもだけで別の星に行ったってどうにかなるわけないよ。

子ども                 そんなの、行ってみないとわからないじゃない。

子ども                 どうせ、この星にいたって死んじゃうんでしょ。

子ども                 でも、お母さんと一緒じゃなきゃいやだよーー。

子ども                 僕も!

子ども                 私も!

子ども                 俺は子どもだけで行くのに賛成。だって親とか「勉強しろ、ゲームやめろとか」めちゃくちゃ口うるさいもん。

子ども                 そんなこと言うなよ、今まで育ててきてくれたんだぞ。

子ども                 うちは・・・、正直お父さんもお母さんも忙しくて、最近かまってもらえなかった。

子ども                 うちもだ。ロボットが、ごはん作って、洗濯して、掃除して。ロボットが親みたいな感じだった。

子ども                 でも、いざ、いなくなったら。

子ども                 そんなこと考えられない。

アキト                 ねえ!いったんみんな、自分の家族と話してみよう。ぼくも話してくる。

                            だから、また後で。

子ども達              うん。

 

 

シロの国の子      世界中の人々が、世界中の家族が、どうしたらいいのかを考えた。

 

13  世界各地の夜

 アオの国のある親子

親1                     おかしいだろ!こんなことってあるか!?

親2                     落ち着いて!

親1                     俺たちはもう生きられないってことだろ!

親2                     そういうことになるけど。

親1                     信じられない!うううう・・・。

親2                     ○○だけでも生きてもらいましょう。

親1                     ○○一人を置いて死ぬのか!?そんなの耐えられない。

親2                     しょうがないじゃない。私だって・・・うううう・・・。

子                        うわああああん。

  (三人泣く)

 

シロの国のある親子

子                        いやだ!ずっとお母さんたちと一緒にいる!

親                        それは無理なの!ここにいてもちょっとしか生きられないの!

子                        それでもいいよ。

親                        あなたはこの先もちゃんと生きてほしい。その方がお母さんたちは嬉しいの。

 

  ある開発者の夫婦(と止まっている人工知能ロボット)

開発者                 どうしてこんなことになってしまったんだろうなあ。

その妻(夫)      どうしてでしょうね。

開発者                 完璧な人工知能ロボットができたと思っていたんだがなあ。

その妻(夫)      ええ、立派なロボットでしたよ。。

開発者                 何かがまちがっていたのかなあ。(止まっているロボットをなでる)

その妻(夫)      何かがまちがっていたのかもしれないですねえ。(ロボットをなでる)

開発者                 ロボットが動いていないと、ずいぶんとしずかだなあ。

その妻(夫)      そうですねえ。

                            どの道私たちは、助からないみたいだから、それまで幸せにすごしましょう。そうだ、旅行でも行きましょう。

 

  電話で話す、総理大臣とその妻子

総理大臣              本当に取り返しのつかないことになった。

妻                        あなたのせいじゃないですよ。

総理大臣              いや、大きな原因の一つであることは間違いない。

妻                        そうかもしれないけど。

総理大臣              こうなってしまった責任はとらなくちゃあいけない。最後のこの国の大臣として。

もし○○が別の星に住むことになったら、もう、○○にも会えないだろう。なあ○○。

子                        (電話を母から受け取る)・・・。

総理大臣              強く生きて行けよ。そして、私たちと同じ道をたどらないでくれ。

子                        うん。

総理大臣              よし。

子                        お父さんも、最後までがんばって。

総理大臣              ありがとう。

 

  ある兄弟(姉妹)

  けんかをしている。

兄                        ふざけんなよ!なんでお前だけ生き残れるかもしれないんだよ!

弟                        しょうがないじゃん、兄ちゃん中学生なんだから。

兄                        くそーふざけんな!

弟                        うわだっさ!

兄                        たった1年早く生まれただけなのになんでだよ・・・。(しゃがむ)

弟                        兄ちゃん・・・。

兄                        ふざけんなよ!(泣く)

弟                        (しゃがんでよりそって泣く)

                           

 

  ある兵士とその妻と子

兵士                     ただいまー。

妻・子                 おかえり!

妻                        帰ってこれたんだ!

・・・ねえ、どうしよう。

兵士                     どうにもならないよ。。俺たち大人は諦めるしかない。人間が無茶やってきたツケがきたんだ。あとは、○○(子の名前)、○○がどうするかは自分で決めるんだ。

子                        そんなこと言われてもわかんないよ。どうすればいい?

兵士                     ・・・○○の人生だ。○○が決めるんだ。どっちに決めても、お父さんたちはそれを尊重するよ。なあ。

妻                        ・・・ええ。

  アキトとナツの家

アキト                 もうわかんないよ!どうすればいいの!

父                        大丈夫だ。落ち着いて考えよう。

アキト                 なんでこんな役割をぼくが・・・。

ナツ                     わたしはお母さんたちと一緒にいたい。(母に抱き着く)

アキト                 でも、1カ月も暮らせるかわからないんだよ。

ナツ                     そんなのやってみなきゃわからないじゃない!

アキト                 お父さんとお母さんはどう思う?

父                        お父さんもアキトやナツと一緒にいたい。でも、本当に二人のことを考えるのなら、別の星に行くのがいいのだと思う。

母                        お母さんも同じ・・・。

ナツ                     他に・・・方法はないの・・?

母                        それにしても、この星の一大事にまさか自分の子供がこんな大事な役割をになうなんて、もうびっくり。

父                        そうだな。

アキト                 好きでなったわけじゃないよ!・・・いやだよこんなの!     

父                        (アキトの頭をなでる)

母                        ちょっと何か食べて落ち着きましょう。(立って食べ物を取ってくる。)

  四人で食べる。

  夜が更けていく         

 

14 アキトの部屋

アキトとナツが部屋に入ってくる。

アキトがパソコンをつける。

アキト            ねえ。考えれば考えるほど、わからなくなってくるよ。

子ども                 わたしも。親にはあなたたちで決めなさいって言われた。

子ども                 うちは、行ってこいって。お母さんたちのことは気にするなって。でも・・・

子ども                 うちは、いっしょにいてくれって言われた。でも・・・。

子ども                 離れ離れになるのもいやだし、1カ月で星が滅亡しちゃうのもいや。

子ども                 決められないよ!

アキト                 みんな!みんな!どうすればいいと思う?!

 

  子ども達がどっと出てきて、それぞれの思っていることを大きな声で言う。

  (色んな声が混じって、誰が何と言っているかわからなくてもよい)

  何人かの子どもが客席に出て行って、客席の子どもにどう思うか聞いて回る。

(それも聞こえなくてよい)

アキト                 ありがとう!(みんな静かになる。)ありがとう、みんな・・・。

子ども達              どうする?

アキト                 どうしよう・・・どうしよっか。顔を伏せる。

 

  夜が更けていく。

アオ国の子          そうして夜が明けて、アキトたちは再び宇宙船に呼ばれた。

 

15 宇宙船の中

宇宙人たち、アキトとナツはじめアオ国の子、シロ国の子、開発者、大臣、兵士、などの役の人のうち何人かがいる。

 

宇宙人                 さあ、結論はでましたかね。

宇宙人                 こことは別に用意させていただく星ですが、今から30年ほど前の二〇一〇年のこの星のテクノロジーを用意させていただきました。

大臣                     なんでそんなことを?

宇宙人                 二〇一〇年より後だと、環境をこわしてしまう技術や、殺し合いのための特別兵器が開発されすぎている。二〇一〇年なら、まだギリギリ環境を守る技術がたくさん開発されていたころだ。そして人工知能も、研究がこれから進んでいくところだった。

宇宙人                 せっかく生き残ってもらったのに、同じ道をたどられても困りますからね。

宇宙人                 それではアキト君、出した結論を教えてください。

宇宙人                 早くしないと、ロボットたちも動き出してしまう。

  アキト、前にでてくる。

アキト                 ・・・ぼくは・・・ぼくたちは・・・別の・・・。

ナツ                     待って!!!

宇宙人                 なんだ。

アキト                 ナツ。

  ナツ、前に出てくる。

ナツ                     お父さんやお母さんをおいて、子どもだけで別の星に行くのはやっぱりつらい。そんなのいやだ。

                            ずっと、考えてたの。何か別の方法はないかなって。

                            そして思い出したの。私たちが初めてこの宇宙船に連れてこられた後、みんなその時の記憶はなくなってた。あなたたちは、なんていうか、記憶を部分的に消すことができるの?

  宇宙人たち、集まって何と答えるか相談する。

宇宙人                 ああ、できる。

アオ国の子          もしかして、お父さんやお母さんの記憶をなくして別の星に行くってこと?

アオ国の子          そんなのいやだよ!

  他の子ども達も口々に反対する。

アキト                 何言ってんだよナツ!

ナツ                     ちがう、ちがうの!(みんな静まる)

                            お父さんやお母さんの記憶をなくすんじゃなくて、人工知能とか、特別兵器とかについての記憶をなくせばいいんじゃない?

アキト                 え?

ナツ                     それで、この星の全員で、別の星に移り住めば、いいと思うんだけど。

アキト               そうか!そうすれば、特別兵器や人工知能のない世界にみんなで行ける。

                            それはできるの?

宇宙人たち、集まって相談する。

宇宙人                 できる、が、だめだ。

アキト・ナツ      なんで?

宇宙人                 たとえ、一部の記憶を消したとしても、今と同じ人間がそのまま移動すれば、同じ道をたどるだろう。そこにいる、やたらと知能は高い開発者や、権力ばかりもって、何も考えず責任感のない政治家がいたら結果は同じだ。君たちだって、大人たちに流されて生きてきただろう。

アキト                 そんなことないよ。いや、今まではそうだったかもしれない。けど、今回僕たちはすごく真剣に自分たちの未来について考えた。だから、同じような道はたどらない。・・・と思う。

大臣                     彼の意見に賛成だ。

アキト                 大臣。

大臣                     本当に恥ずかしながらわたしは、権力ばかりもって、何も考えず責任感のない政治家だった。そんな私がなにを言うかと思うかもしれないがね。

                            この星の未来がないと知ったとき、取り返しのつかないことをしたと思った。申し訳ないと思った。せめて、せめてみんなができるだけ幸せにこの星の最後を迎えられるように、責任をもって最後まで政治を行おうと思った。今だったら言える。この先、絶対に適当に政治を行うことはない。しっかりみんなのことを考えて、活動することをちかえる。どうか、もう一度チャンスを与えてほしい。

開発者                 大臣、顔を上げてください。私たち開発者も、自分たちの作った物に自信を持ちすぎていた。人工知能の高性能さばかり追求してしまった。結局それを使う人間がしっかり考えなくてはいけないのだ。それがわかった。だから、同じ過ちは防げる自信がある。

アキト                 みんなが自分たちの未来を真剣に考えれば、きっと!だから、お願い。

ナツ                     お願い!

  宇宙人たち、相談する。

みんな、かたずを飲んで見守る。しばらくして。

宇宙人                 わかった。特別大サービスです。これだけの知的生命体はめずらしいですからね。

  みんな、一斉に喜ぶ。

宇宙人                 よし。ちょっと時間はかかるかもしれませんが、いきますよ。

宇宙人                 せーの!

宇宙人全員          ハーーーーーッハーーーーーーー!

  宇宙人たち全員手をかざす。長い時間の光と音。

 

16 エピローグ 

アキト達が移住したの星の学校

  アオ国の子もシロ国の子も混じって授業をしている。

 

先生                     よし、はじめようかあ。

今日の勉強は、水についてだ。この星では、前にいた星よりも水資源の量が少なく、水不足になりやすいという調査結果がでている。これをもとに、どうすればいいか方法を考えてみよう。

子ども                 水を節約するってことですか?

子ども                 水を作り出せばいいんじゃない?

先生                     うん、どちらもいいね。じゃあもうちょっと詳しくグループで考えてみよう。

子ども                 はーい。

  子ども達、グループでわいわい話している。

 

  大臣官邸 大臣たちが話し合っている。

 

大臣                     総理!隣の国が先日発見された天然ガスが取れる地域の所有を主張しています。

総理大臣              うむ。しかしこちらも簡単にゆずるわけにはいかない。なあ。

大臣                     はい、一度話し合いを持たれた方がよいかと。

総理大臣              そうだね。今度向こうの首相と話し合おう。2つの国が共同で開発することも考えてみよう。

大臣                     総理、発電所の建設についてですが。専門家を何人か呼んできました。

総理大臣              おお、待っていたよ。エネルギー問題、大事なことだ。お通しして。

  何人か専門家が入ってくる。  

  大臣たちと専門家が話し合っている。

                           

 

  舞台のはしの方から宇宙人が何人か出てくる。 

  星の様子をながめながら

宇宙人                 なかなかうまくいっているようですね。

宇宙人                 まあ、今はまだ移り住んでまもない。どんどん星を発展させていく段階だからな。みんながんばるさ。

宇宙人                 問題があるとしたら、この先だよ。同じ道をたどらないか。

宇宙人                 楽しみだね。

宇宙人                 そういえば、あっちの星の方はどうなってるんだい?

宇宙人                 ああ、元の星か。

 

  アキト達が、もといた星

  人間はいなくて、人工知能ロボットたちが生活している。

 

  ロボット何台かが食事っぽい準備をしている。

 

ロボット              みんなーできたよー。

ロボット達          はーい。

  何台もロボットが集まる。

ロボット              わーおいしそう。

ロボット              今日のは特製よ。太陽エネルギーをたっぷり蓄えて、抵抗による消費を最小限におさえるよう作られた電池だからね。

ロボット              すごーい。

ロボット              じゃあ、いっただっきまーす。

  みんな一斉に体につけられてる電池を代える。

ロボット達          ガチャ!交換完了!(ポーズ)

ロボット              よし、じゃあ海の生き物調査にいってくる。

ロボット              私は砂漠に木を植える集まりに。

ロボット              地震予知の調査に行ってくるかな。

ロボット達          いってきまーす。

  何人かのロボット、効果音とともにいなくなる。

 

宇宙人                 なんか、すっごい発展してるし、うまくいってるじゃないか。

宇宙人                 ああ、かなりの高性能な人工知能ロボットだったようだね。

ロボットだけで平和に暮らしているよ。

宇宙人                 どっちもこれからが楽しみな星じゃないか。

宇宙人                 そうだな。

  効果音

宇宙人                 (自分の体を見て)おっと、我々の体も、そろそろ充電が切れるころだ。ちょっと戻ろうか。

宇宙人                 了解。

  宇宙人たち、はける。

 

  ふたたびアキト達が移住した星

  学校の帰り道

 

子ども                 今日もつっかれたなあ。

子ども                 めっちゃ頭使ったしね。

子ども                 考えたよー。

子ども                 どうなってくんだろうね。

子ども                 何が?

子ども                 私たちとか、この星とか。

子ども                 そうだねー。

子ども                 もちろん、がんばって、住みやすいところにして、楽しくやっていこうぜ!

子ども                 そうだねー。

子ども                 それにしてもへとへと。

子ども                 体も動かしたしねえ

子ども                 前はもっと楽じゃなかった?

子ども                 そうだっけ?

子ども                 前はなんていうか、いろいろやってくれるやつがいたような気がするなあ。

子ども                 え?いたっけ?

子ども                 いなかったっけ?

子ども                 作業とか家事とかやってくれて!

子ども                 色んなこと考えてくれて!

子ども達              すごく頼りになるロボット!

子ども                 そんなんいるわけないかああ!!

子ども                 ないなあ。

子ども                 ないない。

 

  とワイワイ話している子ども達。

  その向こうで元の星にいるロボットたちが振り向いてにやりと笑う。

 

おわり

 

  

上演の際は、練習に入る前に、

作者 ナントモ(  メール nantomoexpress@gmail.com   )

までご連絡ください。

 

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以上となります。

 

 

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